時には時代のない子のように ~復活エッセイ・プチ④~
以前のブログから転載。2017年記述。
時には時代のない子のように
2017-03-25 06:17:50
テーマ:ブログ
いつの間にか頭を上げて歩いている。
新旧入り乱れて並ぶビルはスカイスクレーパーのそれと違い丁度上に上げた目線と合い味わい深い。
自然と足取りが軽くなる。
様々な時代の様々な人間模様が交差し、私も、自然とそこの一員となる。
ウインブレ姿で写真を撮る外国人観光客。颯爽と自転車で駆け抜けるオフィスレディー。最高に格好つけてヒールを鳴らす買い物客。
銀座。
10代の頃は隠れて地図を手に舞い上がりながら歩いた。20代になると自由人を気取りながらもドキドキしながら画廊を訪ねた。そして今・・・・徐々に、自分のスタイルのままで堂々と羽を伸ばしている自分に気付く。
まだまだ和光の時計台には追い付かない。まだまだ銀座は見定めてくる。
そんな緊張感が嫌いではない。むしろ、超えたいと思う40代。
今朝は、8丁目のカフェパウリスタでモーニングをとった。
明治44年創業。
古くは菊池寛や芥川龍之介が集って珈琲を愛した場所。
現代で言えばジョンレノンとオノヨーコが3日3晩通った事が有名らしい。
熱い時代を見守ってきた。私もたまには時の文豪のように、たまにはすかしたボヘミアンのように、と、目を細める。
これといって飾り気のないシンプルな喫茶店だが、壁の両脇のモチーフのレトロモダンさ、そして、鏡に映る天井の照明が印象的だった。
ツナサンド。
昔の文化人達にあやかり、スマホをいじるよりも文庫本の1冊でも持ち込めばよかったという雰囲気の中、非常に良質なブラジル珈琲を頂いた。
流れるブラジリアンボサノバ風のBGMも心地よい。
明治の時代から100年。ずっと、ここで静かに幾人もの憩いを見守ってきた歴史。重みや面影はもはや感じられない。兵どもが夢のあと。今は平成の子を受け入れるオープンマインドがまた良い。気取る必要は全くない、そのウエルカム精神が好きだ。非常に愛着が持てるスタッフの方々に感謝。
明治生まれの私の祖父は、銀座づとめだった。
英国屋や三笠会館など愛用していた。
ふと亡くなった祖父と祖母の銀ブラデートに想いを馳せる。祖母は時折、金太郎で和雑貨など、買ってきてくれた。ひょっとして、2人も、ここに座って、つかの間の珈琲タイムを味わったやかもしれない。
時代の流れの中に時を止めて佇む建物が銀座には多い。
先に行くもの。今を駆け抜けるもの。過去を守るもの。
きっと、誰が何と言おうとどれもそれぞれの道である。
東京には、浪漫がある。銀座には、夢がある。皆、根拠もなく希望をその胸に抱き洒落て歩いた路がある。
もうすぐ平成も終わる。
ここを出れば、また1日が始まる。
銀座が、朝を迎える。
0コメント